ゾンビ映画の何が好きなのかとよく尋ねられるが、やはり一番は、「ゾンビが可愛い」という点に尽きる。ノロノロした動き、「あぁー」とか「うぅー」しかしゃべらない所、そして基本的に脆い所。これってほら、ゆるキャラに共通すると思うんですね。短い四肢と制限された動き、しゃべらないし、基本弱そう。ね、ゾンビってかわいい。
で、今回は、「ゾンビ映画随一のイケメンゾンビ」が出てくると話題の『ウォーム・ボディーズ』をみました。
あらすじ
この映画は、ゾンビが主人公、ゾンビ視点で展開するラブストーリー。ありそうでなかったゾンビと人間の恋物語なのである。
ゾンビとニンゲンが敵対する近未来―。ゾンビ男子Rは、ある日、襲撃するはずのニンゲン女子ジュリーにひと目ぼれし、助けてしまう。最初は恐れをなし、徹底的に拒絶していたジュリーも、Rの不器用全開な純粋さや優しさに次第に心を開きはじめる。出会ってはいけなかった、けれど、うっかり出会ってしまった二人の恋…。世界が感染した世紀末ゾンビ・ラブコメ! (「Oricon」データベースより)
Warm Bodies First 4 Minutes Official 2013 [1080 HD] - Nicholas Hoult
(結構核心を突くシーンが含まれます。未視聴の方注意)
なんでパンデミックが起こったのか、とか主人公Rが生前どんな青年だったのかとか、そういうことはあんまり語られない。そんなことはどうでもよくて、ゾンビと人間の種族(…?)を超えた恋、許されざる恋を描いたハートフルストーリーである。結論から言えば、キレイにまとまった作品でおすすめできる映画の一つだ。
「恋愛ものが見たい」派と、「ホラーが見たい」派でもめた時、折衷案にちょうどいいとってもキュートな映画だと思います。(ホラー要素、グロ描写はほぼなし)
ここからネタバレ含みます。以下感想と批評
ゾンビがとにかくイケメン
主人公のR、彼の、顔が、とにかく、キレイ。
長身痩躯、青い瞳。イケメンはゾンビになってもイケメンなのだ。顔色が悪くてもフラフラでも関係ない。なんなら、深いクマ、ヤバめな顔色、浮き上がる青い血管が、彼の魅力を引き立てているというか、色気を増し増ししている。
しかしこの「warm bodies」というタイトルからすでに察せられるが恋をして彼の心は次第に温かくなる。それに従って、顔色が良くなっていくのもなんか勿体ない。せっかくきれいなゾンビメイクなだけに、もっと見たかった。
「めがねを外したら美少女」みたいなノリで「風呂入ってみたらイケメン」描写がありますが、すでにイケメンだったんですよね。ずるいわ。御姿が麗しい、それだけでこの映画を観る価値があったと思う。
(ゾンビメイクが美しい映画として、私は「ゾンビーワールドへようこそ」を推しているので、こちらもぜひ)
RとJ 禁じられた恋の行方
二人の名前からわかるように、シェイクスピア「ロミオとジュリエット」がベースにある。(と、言いつつ私はバルコニーのシーンまでそのことに気づかなかったけどね)
ロミジュリと言えば、恋人たちが社会的障壁を乗り越えて恋を成就させようとする物語。ちょっとハードルがあった方が燃えるよねっていうのは普遍的。
14世紀のヴェローナを舞台とした原作の「敵対する名家」を、自由恋愛が当たり前のこの時代に持ち込んで「ゾンビと人間の恋」に落とし込んだというのは、やるじゃん!一本取られたぜ!という感じ。片方腐ってんだもん、こんなの究極に許されない恋じゃないですか。一体どうやって結ばれるんだろう!と、心躍ったのですよ。
結論から言うと、ちょっと期待外れだったわけなんですけど、この作品において、結ばれない両者を結び付ける要因として働いたのは、「ガイコツ」という共通の敵だったんですね。人間とゾンビの優劣関係のさらに下層に位置するガイコツを登場させることで、共闘する構図を作ったんです。これがなんだか物足りない。じゃぁどうするって言われると悩むけれど、ゾンビと人間はそれだけでは分かり合えないのかと思うと少し寂しい。
感想まとめ
全体としては、王道を行ったラブストーリー。
偶然出会った男女が障害を乗り越え結ばれる。成就と同時に、ゾンビからより人間へ、階級が上昇し事態も快方へ向かう、ハッピーエンド。
コミカルに笑えるシーンが多く、ゆったりみられるデートムービーと言ったところでしょうか。ゾンビ好きとしては物足りない部分もありましたが、繊細なゾンビメイクとイケメンゾンビが見られたのでオールオッケーです。
ゾンビ×人間のラブストーリーは作品的にはいくつかありますが、なかなかテーマとしてすっきりさせるのが難しいようですね。ゾンビの親戚みたいな吸血鬼もの(語弊がある)だとラブストーリーってむしろメインテーマだと思うんですけど、ゾンビはダメですか。もっと見られないものか期待したいと思います。
私的・2大ゾンビメイクが美しい映画。 ぜひに。