やぁ、Natscoです。
ゾンビ、見てますか?私は見てます。
今回は話題沸騰中の韓国ゾンビ『新感染-ファイナル・エクスプレス-』の感想です。ネタバレはありません。
新感染ーファイナル・エクスプレスー
作品情報
原題:부산행(TRAIN TO BUSAN)
監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ、マ・ドンソク、チョン・ユミ…
あらすじ:
主人公・ソグはファンドマネージャーとして、仕事に明け暮れる日々を送っていた。この日は娘・スアンの誕生日。別れて暮らす妻に会わせるためにスアンを連れて、ソウル駅からプサン行きの特急列車TKX101号に乗り込む。多くの乗客を乗せた列車に駆けこんできたのは、人間を凶暴化させるウイルスに感染した女性だった。目的地まで2時間。時速300㎞で疾走する密室は、無事に終着駅にたどり着くことができるのか…。
去年、オンライン英会話で、「ゾンビ映画が好き」というと3人のフィリピン人から「泣けるよ!」とおすすめされた「TRAIN TO BUSAN」
『釜山行き』日本公開情報が全くでてないなぁと思っていたら、こんな邦題になっていたとは…。ダサっ!って思いましたが、「新感染」という3文字だけで「新幹線で感染の起こるパニック映画」だということを端的に表現したナイスなアレということで、受け入れました。ナイスです。
(パンフレットに各国のなかなかセンスの良いタイトルが一覧になっていて「自虐かな?」と思ったのは私だけではないはず)
感想:泣ける!王道ゾンビ映画
いかんせんこの作品、前評判がめちゃくちゃに高かったもので、裏切られたら悲しいぞ…と覚悟はしていたのですが…これがもう、評判に違わず傑作ゾンビ映画!!
公開日は平日でしたが、ほぼ満席状態での鑑賞になりました。しかも老若男女様々でしたが、やはり韓流ファンが多めで「この人、ゾンビとか大丈夫かな…?」と心配になるようなオバさまもちらほら。
お隣に座ってらした方は、序盤の感染のシーンに小さな悲鳴を挙げていましたが、この作品、全体的にグロさは控えめな印象です。ビックリさせるような演出もありません。
というのも、主軸となるのはあくまでヒューマンドラマ。登場人物それぞれが「生き残らなければならない理由」を抱え、「愛するものを守る」ということに集中している。目的はあくまで「生きて釜山にいくこと」のみ。うーん、シンプル。対ゾンビ戦も最小限。ばかすか銃をぶっぱなす系の映画とは一線を画した印象です。
ストーリー展開としては、王道ゾンビ映画を踏襲したものだと思います。
「感染者はこういう特徴だから→こう戦おう」っていう道筋が非常に分かりやすく、丁寧なのでゾンビ映画が苦手でも受け入れやすいかも知れません。モヤモヤが少なくて良い。
親子、夫婦、友人、恋人、姉妹…
各々の生き残ることへの思いが、それぞれの人間性を色濃く描き出し、ストーリーを織り成しています。モブは徹底的にモブですが、みんなに見せ場があって、かっこいいとこ見せてくれるので、それがもう泣かせる…
伏線も多く、「この後こうなるだろうなぁ」っていうのは予測がつく場面が多かったのですが、その回収が巧みで、分かっているのに感動します。
見どころがいっぱいあるけど、ごちゃごちゃしてない。本当に綺麗な作品です。
今回のゾンビ対策
ゾンビ映画に違いないから、「ゾンビ」という表現を使っていますが、作品中は一度も「ゾンビ」という表現は使われていません。(少なくとも字幕では)公式サイト含め、宣伝でも使われていません。「感染者」と呼びます。そんな今作の感染者の特徴をみてみます。
タイプ:アグレッシブゾンビ
感染経路:噛みつき
変異まで:数十分くらい?(モブはもっと早い)
健康状態:すごく丈夫。鮮度がよく元気。
目的:感染拡大。食べることではない。
出来ること:走る、飛ぶ、階段を登る
出来ないこと:扉を開ける、暗所での目視
蔓延しているのは「人間を凶暴化させる」ウイルスで、いわゆる走るタイプのゾンビ。『ウォーキングデッド』のノロノロ古典ゾンビではなく、『28日後』タイプ。
噛まれることで感染し、変異までのスピードには個人差がありますが、数十分くらいとちょっと早めな印象。
今作では感染爆発から間もない段階なので、鮮度がよく見た目も綺麗です。腐ってる感じはしません。外見はちょっと顔色悪いですか?な青白い肌に血管が浮かび、黒目が青白く濁る。分かりやすくていいです。
特徴として、彼らの目的はよくある「人を襲い、(脳みそを)食べること」ではありません。噛んだら次!どんどん感染を広げるために動きます。追いかけることが楽しい、狩人タイプのやつです。
脳筋には頭脳戦
能力は、とにかくアグレッシブ。走るし飛ぶ。ゾンビ映画対抗運動会があればきっと上位に食い込みます。ただ、知能は著しく低い。階段こそ上がれますが、扉は開けられませんし、目も良くない。暗所では聴力に頼るしか、人間を見つけることは出来ません。
それらを攻略し、頭を使えば充分逃げ延びることは可能です。
しかし集団で押し寄せると話は別で、今作の見どころは数の暴力です。彼らが噛み付いた人間を食べることをせず、丈夫で、再起不能にすることが難しいため、彼らの数は増える一方と考えた方が良さそう。
1人気付くとみんな気付き、集団で追いかけてくるので、くれぐれも注意が必要。行動する際には、前もって作戦を立てることが攻略の糸口になります。
韓国のご当地ゾンビ
ゾンビ映画にはお国柄が色濃く表れます。
オランダの『ゾンビ・クエスト』では移民の多さを反映したパーティが組まれ、キューバの『ゾンビ革命』ではゾンビは反体制派と呼ばれ、『ショーンオブザデッド』ではパブに繰り出す。そもそもゾンビ映画でのゾンビには社会を反映した暗喩が含まれたものでした。
脅威 は「北」からやってくる ――「新感染 ファイナル・エクスプレス」 - ねとらぼ
この記事では、今作は2014年に韓国で起こったフェリー転覆事故、「セウォル号転覆事故」の示唆を指摘しています。なるほど。
それから、今作の監督はインタビューで以下のように語っています、
『ソウル・ステーションパンデミック』(注:『新感染』の前日譚となるアニメ作品。2017年9月30日日本公開)はソウル駅が舞台ですが、ソウル駅というのは経済発展の象徴であり、その経済発展の道からはみ出してしまった人がホームレスになって、ソウル駅にいるのです。ソウル駅に行くと、一般の人はホームレスの人が見えていても見えていないふりをします。ゾンビの身なりや歩き方はホームレスに似ているものがあります。だとしたら、ソウル駅でホームレスを無視していた一般の人達は、ソンビが現れたときに果たしてその存在に気付くのか、というところからアイデアが広がっているのです。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』ヨン・サンホ監督インタビュー 「クラシカルなゾンビ映画であり、誰でも楽しめる普遍的な物語」 – ホラー通信|ホラー映画情報&ホラー系エンタメニュース
今作もホームレスの男性が電車に乗り込んでいます。一般の人達が次々とゾンビになっていくなか、彼は必死に生き残ろうとします。「ホームレスがゾンビに似ている」という構図はここで逆転を見せているわけですね。なるほど。
社会風刺を多く含んだ、メッセージ性の強い作品です。
食わず嫌いしないで!観て!
「いやゾンビはいいわ…」なんていわないで!
王道ストーリーでありながら、様々なメッセージをたっぷり盛り込んだ傑作です。
どうやら今作はアメリカでのリメイクが決定しているそう。銃撃戦のない作品という所、新幹線という舞台、人間関係やメッセージ。韓国という国ならではの魅力であったように感じたので、果たしてどうなるのでしょうか…?
さらなるスケールを期待したいところです!
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話によく出る韓国ゾンビ。未見ですが見ておきたいなぁ。